僕には、もうかれこれ10年間バッテリーを組んでいる男がいる。
とにかく、わがままで図太い、孤独なマウンドを守るにはうってつけ…そんな男だ。
彼とバッテリーを組んだのは中学2年の夏。
既に1年からチームの中心でエースとして活躍していたその男の球を、捕手に成り立ての僕はなかなか上手く捕る事が出来なかった。リードも上手く出来ず、練習中「キャッチャーを変えろ」とキレられたり、僕の出すサインを無視されたりもした。
イライラしながらマウンドを蹴り上げたり、ロージンを荒っぽく扱う姿に、僕は自分の不甲斐なさと申し訳なさで悲しかった。
マスク越しに泣いた日もあった。
あれから約10年・・・。 同じ高校に進学した。
引退後、一緒にチキンズを始めた。
今では僕のサインを無視する事もなければ、サインに首を振る事もない。
マウンドに行って「頑張れ」とケツを叩いてやれるのは、あのわがままな男の捕手が務まるのは僕だけだと思う。
やっと正真正銘のバッテリーとなったのだ。
あと何年、奴の捕手を務める事が出来るのだろうか。
きっと彼の肩が上がらなくなり苦し紛れのサイドスローになっても、僕のメガネが老眼鏡に変わり腹が出てきても続いてるんじゃないだろうか・・・。
これからもよろしく。
野球最高。
次回は、SC埼京地区のCLIPPERSの田平GM様を指名させていただきます。
よろしくお願いします。 |